花よりもなほ

試写会から数ヶ月たって、改めてみてみると、見落としてたり、新たな発見があったり…って、先日書いたか…
とにかく子供を撮らせたらうまいなぁ…昔のドラマとかのこしゃまっくれたガキんちょの演技は味わいがあって好きなんだけど、最近の子は「演技派です、うまいでしょ、私はプロよ」みたいな、変に気合入れすぎた演技が多いんだけど、これに出てくる子達って自然で、すごくいやみがないの。撮り方もただ演技を取るんじゃなくて、しぐさとか、小さい足のアップとかで、いろんなものを表現してたりして、とにかく子供を子供らしく見せてくれるというか。
で、宗左さんのターニングポイントの部分には、必ず子供が絡んでるような気がするのは、私だけ?
メイキングDVDでは、水換えのシーンで子供と手をつなぐシーンが重要と言ってたけど、その他にもおさえさんの亡くなった旦那さんが敵を討たれる側の人だったというのは、なにも知らない子供が教えてくれたりとか、敵相手の金沢の子供も結構ポイントだったりして、さりげないけど、なんか効いてるというか。
でも、あまりにさりげなさ過ぎて、何度か見ないとこの味わいがわかんないんじゃないの?って感じの映画だなぁと。するめの様に見れば見るほどの味わいなんだよな。だから、客席も大笑いとかじゃなくて、くすくす笑う感じ。嫌いじゃないけど。
話し戻って、最後にうその敵打ちを仕組んで、みんながハッピーになれるように台本を書くんだけど、これも、今までの長屋暮らしで経験してきたこと、長屋の人たちとのコミュニケーションでわかったことをすべて詰め込んで、台本を作ります。
おさえさんには、自然と自分の旦那さんが敵として打たれてしまったことを再現して、子供には敵打ちではない、前向きな生き方を諭すようにしたり、敵討ちが成功することによって、平野さんの仕官の道を開いてみたり、とにかく自分の「敵討ち」という「くそ」を「もち」である、「長屋の住人の幸せ」に変えて、最後自分も敵相手と和解する象徴である、子供の登場での満面の笑顔で終わる。すごくうまくまとまってて、それを際立たせるように対極で敵打ちにこだわる、赤穂浪士のを登場させたのがまた効いてるというか。
で、その敵を討った証拠の死体役の孫さんことキム兄ですが、どこかの芸能ニュースで初日のときに、浅野さんに似てるとかなんとかってやり取りを思い出して、も、もしかして、この死体の役の為に、孫三郎はキム兄だったのか?なんて、一人で心の中でウケてました。でも、なんとなく似てると思うもんなぁ。